会社を設立したら、設立から3か月のあいだに青色申告の承認申請と役員報酬の決定を終える必要があります。どちらも期限を過ぎると、その期はやり直せません。また、池田市の法人住民税の均等割は年60,000円で、赤字でも事務所がある限りかかります。会社の設立、おめでとうございます。登記が終わって一息つきたいところですが、売上がまだなくても、期限のほうは待ってくれません。
会社設立から最初の3か月で決まる、2つのこと
設立後の手続きはいくつもありますが、「期限を過ぎると、その年度はもう選び直せない」という性質のものは、次の2つです。
1. 青色申告の承認申請 ― 赤字を繰り越せるかどうか
法人が青色申告を受けるには、税務署へ「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。設立第1期目から青色にしたい場合の期限は、設立の日から3か月を経過する日と、第1期の事業年度が終わる日のうち、早いほうの前日です(国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」)。
青色申告の大きな利点は、赤字(欠損金)を翌期以降に繰り越して、将来の黒字と相殺できることです。設立初年度は先行投資で赤字になることも少なくありません。この赤字を繰り越せるかどうかは、税負担に長く影響します。期限を過ぎると第1期は白色申告となり、この繰越ができません。
2. 役員報酬の決定 ― 経費にできるかどうか
社長ご自身への役員報酬は、原則として毎月同じ額を支給する「定期同額給与」の形にしないと、会社の経費(損金)になりません。そしてこの金額は、事業年度の開始から3か月以内に決める必要があります。設立第1期であれば、設立日から3か月以内です。
「売上が読めないので、しばらく様子を見てから決めよう」というお気持ちはよく分かります。ただ、期の途中から支給を始めたり金額を変えたりすると、定期同額給与の要件を満たさず、支払った報酬が損金にならない場合があります。金額の考え方については、コラム「役員報酬の決め方」で詳しく書いています。
当事務所では、設立直後の会社の役員報酬を決める際、社長ご自身の生活に必要な金額までうかがったうえで、税金と社会保険料を通算したシミュレーションを行っています。3か月という限られた期間の中で、あとから「こうしておけば」とならない形を一緒に考えます。
ほかにも期限のある届出があります
2つのこと以外にも、設立後に提出する書類には、それぞれ期限があります。主なものをまとめます。
| 届出書 | 提出先 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署 | 設立の日から2か月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立の日から3か月と第1期末の早いほうの前日 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与を支払う事務所を開設した日から1か月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | 随時(従業員が10人未満の場合。承認後は年2回の納付に) |
| 法人設立届(都道府県・市町村) | 府税事務所・市役所 | 自治体により異なる |
※期限はいずれも一般的な目安です。設立日や事業年度によって前後しますので、個別にご確認ください。
池田市で設立すると、「均等割」はいくらか
法人には、利益が出ていなくても毎年かかる税金があります。法人住民税の「均等割」です。赤字でも、休眠に近い状態でも、事務所がある限り原則としてかかります。
この均等割は市によって金額が違います。豊能税務署の管轄である池田市・豊中市・箕面市を、資本金1,000万円以下・従業者50人以下の法人(設立直後の多くの会社が該当します)で比べると、次のようになります。
| 市 | 法人市民税の均等割(年額) | 備考 |
|---|---|---|
| 池田市 | 60,000円 | 標準税率(50,000円)より高い「超過課税」 |
| 豊中市 | 60,000円 | 同じく超過課税 |
| 箕面市 | 50,000円 | 標準税率 |
※上記は市民税の均等割のみで、このほかに大阪府の府民税均等割がかかります。税率は各市の公式情報(2026年9月時点)に基づきます。改定されることがありますので、最新の情報をご確認ください。
隣の市で年1万円の差があるわけですが、これだけで本店所在地を決めるものではありません。ただ、「赤字でも毎年これだけはかかる」という金額を、設立時点で知っておくことは大切です。なお、均等割は事務所を置いていた月数で月割り計算されますので、期の途中で設立した第1期は、その分だけ少なくなります。
池田市・豊中市・箕面市・豊能町・能勢町は、いずれも豊能税務署(池田市城南)の管内です。同じ阪急沿線でも、伊丹市・川西市は兵庫県の伊丹税務署の管内になり、提出先が変わります。
消費税は、多くの場合しばらく免税です
設立時の資本金が1,000万円未満の会社は、設立第1期と第2期は、原則として消費税の納税義務が免除されます(国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」)。設立直後にまず気にすべき税金は、消費税よりも、先ほどの均等割と、役員報酬まわりの所得税・社会保険料です。
ただし例外があります。第1期の上半期(特定期間)の課税売上高などが1,000万円を超えると第2期から課税事業者になる場合や、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録をすると設立第1期から課税事業者になる点には注意が必要です。取引先からインボイスを求められる業種かどうかで判断が変わりますので、登録する前に一度ご相談ください。
※本記事の内容は2026年9月時点の制度に基づく一般的な説明です。個別の状況によって取り扱いが異なる場合がありますので、実行前に必ずご確認ください。
個人事業から法人にされた方は、法人ならではの費用や社会保険の考え方をまとめたコラム「個人事業から法人成り」もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
Q.設立から3か月を過ぎてしまいました。青色申告はもう受けられませんか?
設立第1期は白色申告になりますが、第2期から青色申告にすることはできます。第2期の事業年度開始の日の前日までに承認申請書を提出すれば、第2期から適用されます。第1期の赤字は繰り越せませんが、そこで止まらず次の期から整えるのが現実的です。
Q.役員報酬を決めずに、しばらく無報酬でいてもいいですか?
無報酬にすること自体は可能です。ただし、後から「やはり払おう」と期の途中で支給を始めると、定期同額給与の要件を満たさず損金にならない場合があります。設立から3か月以内に、無報酬にするのか、いくらにするのかを決めておくことをおすすめします。
Q.設立直後で売上がまだありません。税理士に相談するのは早すぎますか?
早すぎることはありません。届出の期限は、売上の有無に関係なく進んでいきます。むしろ設立直後こそ、役員報酬や青色申告など、あとから取り戻せない判断が集中する時期です。この段階でのご相談を歓迎しています。