役員報酬を払っている一人社長の会社でも、年末調整(社長が会社に扶養控除等申告書を出している場合)、1月の源泉所得税の納付、社長のお住まいの市区町村への給与支払報告書の提出は必要です。令和8年分(令和9年1月以後に出す分)からは、給与支払報告書を市区町村に出せば税務署への源泉徴収票は要らなくなり、ほかに税務署へ出す支払調書などがなければ合計表も要りません。期限は、源泉所得税の納付が令和9年1月12日(納期の特例を受けている会社は1月20日)、給与支払報告書が2月1日ですので、まず下の早見表で、ご自身の会社に当てはまる行を確かめてください。
税務署から年末調整のお知らせが届き、「従業員はいないのに、うちも何か要るのだろうか」と手が止まる。設立1年目の社長から、よくいただくご質問です。
一人社長の会社に要る手続き・要らない手続きは?(令和8年分の早見表)
| 手続き | 要る・要らない | 出す先・期限 |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書・基礎控除申告書などを受け取る | 要る(社長ご本人が会社に出す) | 税務署には出さず、会社で7年間保存 |
| 年末調整 | 要る(申告書を出していて、年の給与が2,000万円以下) | その年最後に給与を払うとき(通常は12月) |
| 源泉所得税の納付(12月分、または7〜12月分) | 要る(税額0円でも計算書を出す) | 税務署へ令和9年1月12日(火)。納期の特例は1月20日(水) |
| 給与支払報告書・総括表 | 要る(役員報酬は金額にかかわらず対象) | 社長の令和9年1月1日の住所地の市区町村へ2月1日(月) |
| 源泉徴収票(本人に渡す分) | 要る | 社長ご本人へ2月1日(月) |
| 源泉徴収票(税務署に出す分) | 要らない(給与支払報告書を出せば、出したものとみなされる) | ― |
| 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 税理士・弁護士などへの報酬が、同じ相手に年5万円超のとき | 税務署へ2月1日(月) |
| 不動産の使用料等の支払調書 | 社長個人など、個人に払う家賃が同じ相手に年15万円超のとき(管理会社を通じて払っていても、契約上の貸主が個人なら対象。法人に払う家賃は対象外で、法人に払う礼金・更新料などが同じ相手に年15万円超なら対象) | 税務署へ2月1日(月) |
| 法定調書合計表 | 上の支払調書など、税務署に出す法定調書があるとき(給与の欄は書かない) | 税務署へ2月1日(月) |
※期限は令和8年分の日付です。役員報酬がない(無報酬の)年は、年末調整・給与支払報告書・源泉徴収票の対象になりません(税理士などへの報酬から源泉徴収した分の納付や、支払調書の提出は別です)。
社長1人の会社でも、年末調整はしなければいけませんか?
役員報酬を払っていて、社長ご自身が会社に扶養控除等申告書を出していれば、必要です。年末調整は、給与の支払者にこの申告書を出している人について行う手続きで、会社の社長も対象になります。出していないと、毎月の源泉徴収は「乙欄」での計算になり、年末調整の対象から外れます。
行うのは、その年最後に給与を払うとき(通常は12月)です。社長ご本人から扶養控除等申告書、基礎控除申告書、保険料控除申告書などを受け取り、1年分の税額を計算し直して、毎月の源泉所得税との差額を精算します。引きすぎた分は12月分(納期の特例では7〜12月分)として納める額から差し引いて社長に返し、足りない分は社長から徴収します。計算には、国税庁の「年末調整計算シート」(Excel)も使えます。役員報酬の額の決め方は「役員報酬の決め方」で書いています。
源泉所得税は、いつまでに納めればいいですか?(納期の特例)
源泉徴収した所得税は、原則として給与を払った月の翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満の会社は、税務署長の承認を受けると、1〜6月分を7月10日まで、7〜12月分を翌年1月20日までの年2回にまとめて納められます(国税庁 No.2505)。令和8年分の年末調整をした月の分は、原則が令和9年1月12日(火)、特例が1月20日(水)までです。
特例の対象は、給与・退職金と、税理士・弁護士・司法書士などの一定の報酬から源泉徴収した分に限られます。それ以外の報酬から源泉徴収した分は、特例を受けていても翌月10日までです。設立時の届出(給与支払事務所等の開設届出書・特例の申請書)は「池田市で会社を設立したら」にまとめています。
給与支払報告書はどこへ出しますか? 源泉徴収票と合計表は要りますか?
給与支払報告書は、総括表を添えて、社長が令和9年1月1日に住んでいる市区町村へ、2月1日(月)までに出します。会社の所在地ではなく、受け取る人の住所で決まります。
令和8年分からは、給与支払報告書を市区町村に出すと、eLTAX(地方税ポータルシステム)・光ディスク等・書面のいずれで出しても、税務署に源泉徴収票を出したものとみなされます(国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例」)。あわせて源泉徴収票の提出範囲も給与支払報告書と同じになり、「役員は年150万円を超えたら税務署に出す」という基準は、令和8年12月31日までに出す分の話になりました。以前の説明のまま判断しないよう、お気をつけください。
合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)も、給与支払報告書だけなら要りません。ただし、報酬(相手が法人で源泉徴収していない場合も含みます)や家賃の支払調書など、ほかの法定調書を税務署に出すときは、その分について書いた合計表を添えます。社長の自宅の一部を事務所にして、会社から社長に家賃を払っている場合は、この家賃の支払調書を見落としやすいところです。会社と社長個人のお金を分けておく決めごとは「会社のお金と個人のお金の分け方」に書いています。
令和8年分の年末調整で、ほかに変わることはありますか?
令和8年度の税制改正で、所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられます。施行は原則として令和8年12月1日で、令和8年分の所得税から適用されます。11月までの毎月の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で、改正後の控除額で1年分を計算し直して精算します。令和9年1月からは、改正後の源泉徴収税額表で毎月の源泉徴収をします。
このほか、扶養親族などの所得の要件も見直されます。また、令和7年度の改正で設けられた、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例は、令和8年分と9年分に適用されます。改正で新たに扶養の対象になるご家族がいれば、扶養控除等申告書を出し直します。控除の金額は、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」で確かめてください。
BLOOMでは、顧問契約の会社の年末調整を、計算から源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表の作成まで事務所でお引き受けしています。2月1日までの期限と、会社でご用意いただく書類も先にお伝えします。毎月の給与計算と社会保険の手続きは事務所ではお受けしておらず、連携する社会保険労務士の先生と分担しています。顧問契約で事業をされている会社には、決算の前に利益と納税額の見込みもお伝えしています。顧問料は、法人顧問の料金をご覧ください。
※本記事は2026年10月時点の法令と国税庁の資料(令和8年分)に基づく一般的な説明です。個別の状況によって取り扱いが異なる場合がありますので、実行前にご確認ください。
よくあるご質問
Q.年末調整で税金を返したら、1月に納める源泉所得税が0円になりました。納付書は出さなくてよいですか?
0円でも、所得税徴収高計算書(納付書)の提出が必要です。税額0円の計算書を所轄の税務署に出します。e-Taxでも0円のデータを送信できます。0円の計算書の控えには税務署の受付印が押されないため、出した日をご自身で記録しておくと安心です。
Q.社長1人の会社でも、源泉徴収票を社長本人に渡す必要がありますか?
必要です。税務署に出す源泉徴収票が要らなくなる令和8年分以後も、給与を受け取った人への源泉徴収票の交付は続きます。令和8年分の期限は令和9年2月1日です。書面のほか、一定の要件のもとで電子交付もできます。
Q.源泉所得税の納期の特例は、今から申請しても使えますか?
給与の支給人員が常時10人未満であれば申請できます。税務署長から却下の通知がなければ、申請書を出した月の翌月末日に承認されたものとみなされ、出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります。それより前に源泉徴収した分は、原則どおり翌月10日までに納めます。